おしらせ
ロイターへコメント寄稿 !
弊社、代表取締役である中島 肇がロイターへコメントを寄稿致しましたので、以下に掲載いたします。
〔兜町ウオッチャー〕キーエンス、時価総額でソフトバンクG超え 業績相場の象徴か – Reuters
[東京 24日 ロイター] – 抜群の営業利益率を誇るキーエンス6861.Tが時価総額でソフトバンクグループ(SBG)9984.Tを一時上回り、国内企業でトヨタ自動車7203.Tに次ぐ2位に躍り出た。工場のオートメーション(FA)関連が好調で業績拡大期待が株価を押し上げている。金融相場の象徴であるSBGとの逆転は業績相場への転換を示すとの見方も出ている。
<上昇トレンドの株価>
キーエンスの時価総額は今月17日終値時点で13兆7825億円となり、SBGの13兆6061億円を上回った。トヨタ自動車の33兆3804億円には及ばないものの、ソニーグループ6758.Tを交えての「2位争い」が激しくなっている。
キーエンスはSBGと比較すると売上高や利益ではSBGに及ばない。SBGの2021年3月期の純利益は4兆9879億円と、日本企業で過去最大の利益。キーエンスの純利益は1972億円と、SBGの約25分の1にとどまる。
陣容もSBGより小さい。SBGが、携帯子会社のソフトバンクなどを含めて従業員が5万8786人(21年3月末)であるのに対し、キーエンスは8380人(21年3月20日)と、約7分の1だ。
一方、株価の水準はキーエンスが23日終値で5万6780円、SBGが7688円。PER(株価収益率、前期実績ベース)はキーエンスの69.9倍に対し、SBGは2.9倍と1桁違う。キーエンスの株価は2月の年初来高値5万9310円にはまだ届いていないものの、3月半ば以降、上昇トレンドにあり、時価総額を膨らませた。
<最高益期待のキーエンス>
好調な株価の要因は好業績期待だ。キーエンスの主力製品は工場のFA化のためのセンサーで、コロナ前から中国を中心にニーズが高まっていた。パンデミックを経て、自動化や省力化の需要はさらに拡大するとの期待が大きい。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の小宮知希シニアアナリストは、キーエンスが22年3月期に営業利益で過去最高を更新すると予想する。産業界では、米中摩擦を踏まえて米国内で生産拠点を拡充する動きも出ており「需要が減ることは想定されない」という。
財務指標の中で注目されるのが、51%の売上高営業利益率だ。同社では、製品を詳しく知る自社の営業担当者が顧客に直接販売する手法をとる。顧客の課題解決ニーズを直接把握して開発した製品をそろえ「同種の製品でも他社より高付加価値を認められやすい」(国内証券)という。代理店を通さない直販のため、中間マージンもかからない。
21年3月期の業績は、上期を中心にコロナ禍で顧客の生産活動が停滞したことなどが響いて減益となったが、下期は回復基調で第4四半期は過去最高益となった。今上期は、前年の落ち込みからのリバウンドへの期待もある。
<振れ大きいSBGの業績>
一方、SBGは5月に自社株を消却したほか、5月の決算発表以降、株価が下落傾向にあり、時価総額を落としてしまった。
投資業務が主力となったSBGの損益は株式市場の動向に左右されやすい。21年3月期は過去最大の利益となったが、その前の20年3月期は米シェアオフィス大手ウィーワークの経営難などファンド事業が重しとなって最終損益で過去最大の赤字を計上した。
金利上昇懸念も株価の重しだ。投資先にAI(人工知能)関連企業を多く抱える同社の株価は、ハイテク企業の株価と相関性が高い。世界的に景気が回復すれば、金利には上昇圧力がかかる。金利上昇はハイテクなどグロース株には悪材料だ。同社の有利子負債は約6兆4000億円と巨額で、金利が上昇すれば利払い負担の増加も連想されやすい。
この先も株価動向で業績は大きく振れるとみられる。SBGの孫正義会長は「1─2兆円の利益や赤字はニューノーマル」と意に介さないが、投資家はそうもいかない。SBI証券の森行眞司シニアアナリストは「株式相場のボラタイルな動きが(SBGの株価に)影響している」とみる。
米連邦準備理事会(FRB)のタカ派シフト観測で大幅な株安となった21日、SBGは売り込まれ、時価総額はソニーグループ6758.Tを下回り4位に転落。市場では「金融相場から業績相場への移行を印象づける」(日東フィナンシャルグループの中島肇社長)との声も出ていた。
24日の東京市場では、SBG株が上昇した一方、キーエンス株が下落し、時価総額で再逆転される場面もあった。前日開催の株主総会でSBGの孫会長が自社株買いを「常に重要な選択肢のひとつ」などと説明したことが材料視されたが、相場環境的には向かい風が吹き付けやすい状況が続いている。